ビルドモニターの設定

ビルドモニターを使うとビルドの進行状況を視覚的に確認することができます。これは、通常のテキストベースの出力に比べて大きなメリットがあります。例えば、ビルドを分析できるのでエラーやボトルネックの検出、ビルドの邪魔をする問題の修正がとても簡単になります。

ビルドモニターの起動

ビルドモニターは Visual Studio IDE または Agent トレイアイコンからビルドを開始すると自動的に起動しますが、

次の方法で起動することもできます。

  • Visual Studio IDE の [Incredibuild] メニューから [Open Monitor] を選択。
  • Incredibuild のトレイアイコンをダブルクリック。
  • /OPENMONITOR コマンドライン (BuildConsoleIBConsole) を使用。

表示アイコンと詳細

アイコン 説明

プログレス表示: 分散ビルドのプロセスを視覚的に表示します。

アウトプット表示: MS Visual Studio C++ と同様のテキストでビルド全体の出力を表示します。

プロジェクト表示 ビルドされたプロジェクト / 構成ごとに実行ツールの標準出力 (警告やエラー メッセージを含む) を表示します。MS Visual Studio C++ ビルドのみ対象です。

サマリー表示: 実行中のビルドに関する情報や統計を表示します。

警告表示: ビルド実行中に発生した警告を表示します (警告がある場合)。

ヒント: Incredibuild の便利な使い方を表示します。

ビルド表示の形式

ここではビルドモニター左側のメニューから選択できる各種ビルド表示について解説しています。

プログレス表示

ビルドモニターのメインビューです。カラフルなバーで分散ビルドのプロセスを視覚的に表示します。

ビルドされたファイルは種類と状態に応じて色分けされます (下表を参照)。

ファイルの種類と状態
紫色 実行中のタスク。
水色 正常に処理されたローカル タスク (カスタム ビルド ステップ、リンク、ブラウザ情報の作成)。
緑色 正常に処理されたローカルまたはリモートの分散タスク (Visual Studio でのコンパイルなど)。
黄色 警告が発生したファイル。
赤色 ビルドに失敗したファイル。

白色

キャンセルまたは別の Helper に移動されたタスク。

タスクバーにマウスのポインタを合わせると、その時点までのビルドの所要時間やファイルに関する情報が表示されます。また、表示を全方向に拡大・縮小したり (クリックしてドラッグ)、ズームイン / ズームアウトしたり (CTRL/SHIFT を押しながらクリック) することもできます。

プログレスバーを右クリックするとコンテキスト メニューが表示され、以下の操作を行うことができます。

Go to Output プロジェクト表示の対応する行に移動して、そのファイルの出力テキストを表示します。同じ操作はプログレスバーをダブルクリックして行うこともできます。
Go to Source ソースファイルを Visual C++ エディタで開きます。このオプションは MS Visual C++ の開発環境からビルドモニターを使用する場合のみ有効です。
Zoom In / Zoom Out ディスプレイの水平方向のスケールを変更します。ズームインすると表示バーが長くなり、ファイル名を表示するスペースが増えます。スクロールや [+/-] キーでも同じ操作を行えます。
View Agents Bar 画面左側の Agent リストの表示 / 非表示を切り替えます。
View Time Bar 画面下部のタイムライン、進行状況、処理能力の表示 / 非表示を切り替えます。
View System Graphs システムの状態を監視できるシステム グラフの表示を切り替えます。
Select System Graphs.. システム グラフを表示中にグラフ選択画面を表示します。
Arrange Agents ビルドに参加中の Agent が一番上に表示されるようにリストの Agent の順番を入れ替えます。
Auto Arrange ビルドに参加中の Agent を常に一番上に表示します。

ログレベルを「Detailed」に設定してタスクバーを右クリックすると、トラブルシューティングに役立つオプションが表示されます。

  • [Save Detailed Log...]: プロセスの実行状況を分析するために Incredibuild サポートに送信するログファイルを保存します。
  • [View Process Activity]: リモート実行されたプロセスの実行状況を追跡するためのビューアを開きます。ビューアには実行したプロセスとそのサブプロセスの標準出力、標準エラー出力、PID 情報、環境ブロックが表示されます。

画面右上のボタンで、拡大 / 縮小、システムグラフの表示 / 非表示、Agent バー / タイムバーの表示を切り替えることができます。

注意:

  • Visual Studio や make などのビルド ツールでは、バーをダブルクリックすると実行中のタスクの出力が自動的に開きます。
  • サブミッション インターフェイスまたはインターセプション インタフェイスのいずれかでビルドを実行する際に、バーをダブルクリックしてもうまくいかない場合は「IdentifyTaskOutput」属性を使うと解決することがあります。

アウトプット表示

実行プロセス全体 (Incredibuild で実行しているものすべて) のビルド出力を表示します。Visual C++ の出力に似ているのでその表示に慣れているユーザーには使いやすい選択肢です。

アウトプット表示では次の機能をご利用になれます (ディスプレイを右クリックして表示されるコンテキスト メニューやツールバーからも利用できます)。

テキスト検索 テキスト検索を行います。ショートカット キーは「CTRL + F」です。「F3 (SHIFT + F3)」で次 (前) の出現箇所を検索します。
エラーメッセージ検索 ビルド出力のエラーメッセージ間を移動します。ショートカット キーは「F8 (SHIFT + F8)」です。MSVC IDE 内で使用する場合はエディタで該当するコード行のソースファイルを開きます。
警告 / エラーメッセージ検索 ビルド出力の警告メッセージとエラーメッセージ間を移動します。ショートカット キーは「F4 (SHIFT + F4)」です。MSVC IDE 内で使用する場合はエディタで該当するコード行のソースファイルを開きます。
ブックマークの切り替え 現在の行のブックマークを切り替えます。ショートカット キーは「CTRL + K」です。「CTRL + K + N」(次のブックマーク)、「CTRL + K + P」(前のブックマーク) を使って、設定済みのブックマーク間をジャンプできます。
ソースファイルを開く MSVC IDE 内で使用する場合は、メッセージをダブルクリックしてエディタで該当するコード行のソースファイルを開きます。
オート スクロール 表示を自動的にスクロールして最後にビルドされたファイルの出力を表示します。カーソルをテキスト上に移動するスクロールが停止します。

プロジェクト表示でも上記リストの機能をご利用になれます。

注意:

  • Visual Studio では Incredibuild で一度に複数のプロジェクトがビルドされることが多いため、異なる構成の出力が混在しないようにビルド出力がバッファリング (一時保存) されます。このため、アウトプット表示にビルド済みのファイルが表示されないことがあります。全ファイルのビルド出力を表示するには「プロジェクト表示」を使用します。

プロジェクト表示

Visual Studio ビルドのみが対象です。

プロジェクト表示の左ペインには実行中のビルド構成がリスト表示されます。

左ペインで選択した構成名の出力が右ペインに表示されます。Visual C++ の出力画面と似ていますが、

アウトプット表示の機能をご利用になれます。

サマリー表示

ビルド プロセスやステータスを表す、使用中の処理能力、ライセンス情報など各種統計を表示します。

警告表示

Incredibuild ビルドの実行中に発生したシステムの警告を表示します。警告の表示 / 非表示を切り替えるにはAgent Settings->Build Monitor->Warnings のダイアログボックスで、非表示/表示する警告のチェックボックスをオフにすると、表示が切り替わります。

システム グラフ

プログレス ビューでビルド中の様々なシステム パラメーターを監視することができます。

システム グラフの表示

  • ビルドモニターの表示画面を右クリックして [View system graphs] を選択すると、システム グラフが開きます。グラフにカーソルを合わせると選択時点の値が表示されます。

表示パラメーターの設定

  • ビルドモニターの表示画面を右クリックして [Select system graphs...] を選択すると、システムのパラメーターとそれに対応するグラフの色を設定できます。

ビルドモニターの特長

ビルドモニターからは次を行えます。

  • プロジェクト表示のバーをダブルクリックして任意のプロジェクトの出力分布を表示。

  • 黄色や赤色のステータスバーをダブルクリックしてビルド出力の最初の警告やエラーに移動。

  • ステータスバー真上の下向き矢印アイコンをクリックして、ビルド中にスキップしたファイルの処理方法を選択 (完了としてカウントまたは完全に無視する)。